PCのメインモニタとして32インチ4Kのモニタを導入したところ大変満足のいく結果となったので紹介します。
この記事では以下について解説していきます。
- 4Kモニタのメリット、デメリット
- なぜ32インチを選んだのか
購入したモデル
今回購入したモニタはDellのU3223QEというモデルになります。(正確には31.5インチ)
メーカー | Dell |
型番 | U3223QE |
サイズ | 31.5インチ |
解像度 | 3840×2160 (4K) |
リフレッシュレート | 60Hz |
パネル種類 | IPS Black |
入力 | HDMI 2.0×1 / DisplayPort 1.4×1 / USB-C×1 |
その他 | USBハブ機能 |
良かった点のまとめ
- 大きな画面サイズなので表示サイズの維持と表示領域の拡大の両立が可能。
- 一般的なデスクにも設置可能で、使い勝手が落ちないギリギリのサイズ感。
- (今回購入したモデルの特徴として)USB-C接続とUSBハブ機能の使い勝手が良い。
以下で詳しく解説していきます。
4Kモニタの特徴
現在事務用として一般的に使われているモニタは24インチ前後、Full HD解像度のものが多いと思われます。クリエイター向けやMacではより大きく高解像度なモニタが使われる例もありますが、Windows PCで一般事務向けやプログラマ向けとしてオフィスで利用や支給されるモニタはこのあたりのスペックが主流だと思います。以下ではこのようなスペックのモニタから乗り換えるにあたっての比較をしていきます。
Full HDと比べると4Kモニタには2つの利点があります。
- 表示領域が広がる
- 表示が高精細になる
しかしどちらも必ず恩恵を受けられるとは限らない点に注意が必要です。
表示領域については以下の模式図の通り、4KはFull HDに比べ縦2倍、横2倍、面積で4倍の解像度を持つため、一度に表示できる領域が増えます。
ウェブや資料の閲覧、プログラミングなどの作業時にスクロールせずに多くの情報にアクセスできるため作業効率の向上が期待できます。
また、広い領域を活かして画面内に複数のウィンドウを並べるなどして、疑似マルチモニタ的な運用をすることもできます。
ただし縦横2倍になるのはOSやアプリの設定で表示倍率を変更しない場合(100%表示のまま)です。WindowsではOSの設定で画面表示の倍率を設定でき(参考:Microsoftサポート)、各アプリケーションでも表示倍率の変更ができるものがあります。
例えば同じ24インチ同士でFull HDと4Kモニタを比較すると、表示倍率100%の場合には4Kは確かに表示領域は縦横2倍になりますが、表示される文字などのサイズは半分になり視認性は落ちてしまいます。そのため解像度に応じてある程度倍率を上げて表示するのが一般的で、その場合表示領域は縦横2倍までは広がりません。24インチ同士で4K解像度でFull HDと同等の表示サイズを確保しようとすると、表示倍率を200%に設定する必要があり、そうすると表示領域は広がりません(ただし高精細に表示されるメリットはあります)。
表示の精細さについても注意が必要で、アプリ側が高解像度に対応している必要があります。古いアプリでは高精細にならなかったり、一部表示が乱れることもあります。私の印象だとWindows 10以降の環境であればMicrosoft製の主要ソフト(OS付属のツールやOffice等)や主要なブラウザについては、概ね高解像度に対応しているように感じますが、古いソフトをメインで使う場合には注意が必要です。
よって4Kモニタの利点を最大限活かすにはモニタのサイズ選択やソフトウェアの環境に注意する必要があります。
表示領域と表示サイズ
表示領域と表示サイズについて、もう少し詳しく説明します。
以下は、Full HDのモニタで当ブログのトップ画面を表示し、ブラウザの表示倍率を100%、50%で表示した例です。
表示倍率50%のほうがより多くの情報を表示できていることが分かります。
モニタは同じFull HD解像度ですが、表示領域としては4Kモニタ相当の広さとなっており、4Kモニタを導入せずとも表示倍率を50%にすれば倍の表示領域を獲得できることになります。ただ実際にはこのぐらい表示サイズが小さくなってしまうと実用的ではないと感じる方がほとんどだと思います。
表示が小さくなった分、目と画面の距離を近づけるという方法もあります。そうすることでFull HDでも表示領域を広げる運用は不可能ではありません。ですが実際は画面に近づきすぎると目が疲れる原因になるため、一般的には目とモニタとの距離は最低40~50cm以上が必要と言われています。
よって、実用上は目と画面の距離は適切に確保した上で、表示サイズも小さくなりすぎないようにしなければなりません。その上で表示領域を広げようとすると、モニタのサイズ(物理的なインチ数)を大きくする必要があります。
適切なモニタサイズの選び方
では、どのぐらいのモニタサイズが適切と言えるでしょうか。
現状オフィス向けの4Kモニタは27~32インチが主流のようです。もちろんそれ以下、それ以上のサイズもありますが、あまり数は多くはない印象です。
Macの話ですが2024年執筆現在のラインナップではデスクトップのiMacが24インチ、別売のディスプレイであるStudio Displayが27インチ、Pro Display XDRが32インチとなっており、Appleとしてもオフィス向けとしてはこのぐらいが使いやすいと考えているのかもしれません。
4Kの27インチと32インチではどのような差があるか考えていきます。
24インチFull HDモニタと比較した場合、表示サイズの比は以下の計算で求められます。比が1の時、24インチFull HDモニタと同等の表示サイズということを表します。
表示サイズ比 = モニタサイズ[インチ] ÷ 24 ÷ 2 × 表示倍率
27インチ4K、32インチ4Kモニタにおける表示倍率設定と、表示サイズ比を計算すると以下のようになります。
100% | 125% | 150% | 175% | 200% | |
27インチ | 0.56 | 0.70 | 0.84 | 0.98 | 1.13 |
32インチ | 0.67 | 0.83 | 1.00 | 1.17 | 1.33 |
ご覧の通り27インチでは175%、32インチでは150%に設定した時に24インチFull HDとほぼ同等の表示サイズを確保できることになります。
175%に設定した場合は表示領域はFull HDと比べ1.14倍(2÷1.75=1.14)、150%に設定した場合は1.33倍(2÷1.5=1.33)となります。
もちろん、必ずしも表示サイズ比を1に近づける必要はありません。小さい表示サイズでも問題なければ、小さい画面サイズでも大きな表示領域を確保することはできます。ただ、やはり大きい画面サイズの方が表示サイズと表示領域を両立しやすいことは事実です。
とはいえ表示サイズ比の数値だけを見てもいまいちピンと来ないと思います。確認のためには、ブラウザ等のズーム設定で擬似的に体験することができます。例えば27インチ4Kで表示倍率100%の設定がどのような見え方かを確認するためには、ズームを56%にすればイメージを掴めます。(実際には4Kの方がドット密度が高く文字の潰れ方が異なるなど、あくまでイメージです)
以下はEdgeでの設定例です。Officeソフト等でも似たような設定ができる場合があります。
このようなシミュレーションや、そもそもデスクに置けるかどうかなど寸法の確認を行ったうえで画面サイズを決定するのが良いと思います。
32インチより大きいモニタを選べばさらに表示領域を広げやすくなります。ただ同時に目線を動かす距離が増えることには注意する必要があります。32インチであればモニタとの距離を50cm程度確保できれば、軽い視線の移動のみでモニタ全域をカバーできる印象ですが、より大きなモニタの場合視線を動かす距離が大きくなってきます。そうすると疲れの原因となる可能性もあるため、バランスを考える必要はあります。
なので実際に製品を店舗などで確認してから購入するのがおすすめです。私は腕を伸ばしてモニタに触れられるぐらいの距離(約50〜60cm)でデスク環境を作っているので、腕をメジャー代わりに店舗で自宅の環境での見え方を確認していました。
個人的には製品ラインナップの観点からも、32インチ程度を上限にするのがバランスが取れているように感じました。
Dell U3223QEの良い点
ここからは購入したモデルであるDell U3223QEで良かった点について簡単にレビューします。
USB-C接続
本モニタは一般的なHDMI、DisplayPortに加えUSB-Cによる入力をサポートしています。
USB-C接続の良い点は映像、音声の入力に加え給電が1本のケーブルで済むという点です。私は複数のノートPCを繋ぎ換えて使ことがありますが、それぞれのACアダプターを用意せずに接続できるのが便利だと感じました。
給電は90Wまで行え、MacBook Pro 14インチ(M3 Pro)を余裕を持って給電することができます。(付属のACアダプターは70Wで、それを超えているため)
USBハブ機能
本モニタにはUSBハブ機能があります。
私はデスクに常設しているメインのWindowsデスクトップPCとモニタをUSBケーブルで接続し、モニタにキーボード、マウスを接続しています。
こうすることで、メインのWindowsPCとUSB-Cで接続したノートPCの両方でキーボードとマウスを利用することができます。別途ハブやスイッチャー等を使わずにモニタのみで接続が完結するのは素晴らしいです。
オフィス用として十分な画質
IPS Blackパネルを採用しているため、通常のIPSパネルよりコントラスト比が高くなっています。
リフレッシュレートは60Hzのためゲーミング向きではないかもしれませんが、オフィス用としては十分な画質だと感じています。
充実したスタンド機能
付属のモニタスタンドの出来が良く、上下昇降、左右角度、前後角度が変更できます。モニタアームを使わずとも柔軟な設置が可能です。
注意点・デメリット
非常に満足度の高い32インチ4K環境ですが、デメリットも存在しています。
高解像度に非対応の環境がある
近年は改善されつつありますが、特にWindows環境ではまだまだFull HDが現役で、4Kは標準からはやや外れた環境です。
古いPCの場合、そもそも4K解像度の表示に対応していない場合もあるため、PCのスペックは事前に確認しておく必要があります。
PC自体が4Kに対応しても、アプリがこのような高解像度に対応していない場合、表示がやや乱れることもあります。具体的にはアプリによって表示がぼやけてしまったり、UIが極端に小さいサイズで表示されてしまうことがあります。
私は仕事でリモートデスクトップを使うことがあるのですが、Full HDのノートPCにリモートデスクトップで繋ぐ際、稀に表示が乱れることがあります。(多くの場合、接続し直しやアプリの再起動で解決します)
新しいPC、OS、ソフトウェアであればこのような不具合は減る傾向にあると感じていますが、不具合が生じた場合には対応できるある程度の知識は必要になってくると思われます。
設置環境の問題
32インチは一般的なモニタに比べると大きいため、設置場所を選ぶ可能性があります。幅を取るのはもちろんですが、モニタ全体を視野に収める、目の疲れを軽減するためにある程度モニタとの距離を確保する必要があります。
モニタとの距離を50cmほど確保するためには、デスクの奥行きは最低でも60cm程度必要になってくるため、コンパクトなデスクの方は注意して下さい。
導入してみて
実は何年も前から4Kモニタの導入は検討していたのですが、Windows環境の高解像度対応がまだまだという印象があったため、しばらく見送っていました。
今回実際に32インチ4Kモニタを使用している知人のアドバイスもあり、近年では問題はほとんど解消していること、32インチの使い勝手が良いということだったので導入に踏み切りました。
一般的な24インチFull HDディスプレイからの乗り換え(現在旧モニタはサブディスプレイとして使用)だったため、設置した当初は32インチというサイズが大きすぎるように感じましたが、1週間も経たないうちに慣れ、今ではむしろこのぐらいが使いやすいと感じています。
私はWindowsの設定で表示倍率を150%にして運用しており、これは前述の通り24インチFull HDディスプレイと同等の表示サイズを維持しつつ、表示領域は約1.33倍となります。
数値だとたかが1.33倍という気もしますが、作業をする上でこの変化は大きく、特にプログラミングにおいて画面分割をした際にもコード全体の見通しが効くなど、恩恵はかなりある印象です。
同時にドット密度も高まったため各種アプリで表示(特にフォント表示)が高精細になったのも嬉しいポイントです。高精細の表示はかつてはMacの専売特許というイメージでしたが、近年ではWindowsもハード、ソフトウェア周りの対応が進んだことで高精細な表示が得られるようになってきています。
総じて、導入してとても良かったと感じています。
ただし最適なモニタのスペックは各人の環境による部分も大きいため、当記事の情報が皆様の選ぶ際の参考になれば幸いです。
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