2025年3月、開発用Windows 11 ProのPCを新たに組みました。この記事ではスペックの選定理由について紹介します。ベンチマーク紹介はありませんのであしからずお願いします。
構成詳細
型番 | 価格(約) | |
CPU | AMD Ryzen 7 9700X | \63,000 |
マザーボード | MSI MAG B650 TOMAHAWK WIFI | \21,000 |
RAM | crucial PRO SERIES DDR5-5600 32GB(16GBx2) | \14,000 |
ストレージ | Western Digital WD_BLACK SN850X 1TB | \12,000 |
GPU | GTX1050Ti | – (流用) |
電源 | Antec GSK GOLD 850W | \16,000 |
ケース | Antec P10C | \13,000 |
OS | Windows 11 Pro (パッケージ版) | \24,000 |
GPUとサブのストレージ、周辺機器(モニタ等)は手持ちのものを流用し、今回購入した一式で合計17万円弱でした。
用途とコンセプト
現在メインの開発(モバイルアプリ)はMacで行っていますが、やはり汎用性や事務作業なども考慮するとWindows PCは外せません。
ゲームをやるわけではないのと、ローカルでのAI開発などの高パフォーマンスが求められる機会は現状そう多くないことを考えて、高パフォーマンスよりも安定性、低消費電力、低発熱、静音といった扱いやすいPCを組むことをコンセプトにしました。
なお昨今PCのスペックではGPUがかなり重視されるかと思いますが、現時点ではGPUを活用する用途が決まっていない(将来的にAI開発をやりたいとは考えている)ため、いったん以前のPCから1050Tiを流用しています。(オンボードだと4Kモニタがカクついたので、モニタを安定駆動するぐらいの意味しかありません)
CPU選び
Intel vs AMD
長らくIntelのCore iシリーズを使ってきましたが、今回は初めて自作PCでAMDを採用することにしました。
かつては定番と言えばIntelで、AMDはコスパに優れるものの信頼性を重視するならやはりIntelという印象がありました。
ただRyzenの登場以降はAMDも急速に人気を伸ばしており、執筆現在では多くの人気ランキングでAMDが上位を占める結果となっています。
IntelのCore iシリーズは13/14世代で不具合もあったため、少々選ぶのに抵抗がありました。(下記参考リンクのように、現在は原因が特定されています)

Core Ultraシリーズは候補だったのですが、まだ登場してから日が浅く、最近のAMD人気もあって評価が十分集まっていないと感じたため、選択肢から外れました。
安定性というコンセプトで言っても、現在最も人気のある製品(Ryzen)から選ぶ方がトラブルが少ないだろうと考え、AMD Ryzenを採用することとしました。何かしら環境を選定するうえで「人気がある」こと自体大きなメリットだと思います。
Ryzenシリーズ内での選定
具体的なCPU型番を選択するにあたり、今回はTDP65Wの低消費電力のものから選ぶ方針としました。
執筆時点で発売済みであるRyzen 9000シリーズ(Zen5アーキテクチャ)の中では9700XがTDP65Wの中で最も高性能なモデルだったので、そちらを選択することになりました。
1世代前のZen4アーキテクチャでRyzen 9 7900もTDP65Wでよりスペックが高かったのですが、価格差があったことと、Zen5でより低発熱になっているというレビューを見かけたことや高速なメモリが使えるという点から、今回は9700Xを選択しました。
マザーボード(チップセット)選び
Ryzen 9000シリーズではチップセットとして最新の800番台と1世代前の600番台を使うことができます。当然前世代は価格が落ち着いてきているため、それを選べるのはAMDの1つの強みだと思います。600番台を選ぶことで価格を抑える代わりに、より上位グレードの製品を選択するといった構成も検討できます。
詳細な性能比較についてはAMDの公式ページで確認することができます。
細かい差異はありますが、大きなポイントとしてはPCI Expressのバージョン(4.0 or 5.0)とレーン数、そしてUSB4への対応あたりになると思われます。
まずレーン数ですが、今回ストレージとしてPCIe接続のM.2 SSDを2枚組みこんでいます。グラボ1枚で16レーン、M.2で4レーンx2消費すると計24レーンとなりますが、これは普及グレードのB650で要件を満たしており、M.2の拡張余地も残っています。
そのためグラボ2枚挿しなどを考えない場合PCI Express 5.0とUSB4が必要か、というところですが現時点ではまだどちらも十分生かし切る環境が整っていないと感じました。
最新のハイエンドであるRTX5090であってもPCIe 4.0と5.0での性能の差は僅かであるという調査結果も出ています。

USB4についても現状対応機器は少なく、一部外付けSSD等を見かけるぐらいです。
もちろんいち早くそれらの機能を使いたい場合や拡張性を持たせたい場合はその限りではありませんが、次のPCを買うまでに生かせる環境が整うか疑問に思ったため、今回はB650を選択しました。
メモリ
Ryzen 7 9700Xがサポートする最大速度であるDDR5-5600規格の32GBを採用しました。
今回のコンセプトで安定性ということを考えるとオーバークロックはしませんが、あえて遅いメモリを選ぶ必要も無いと思ったのでDDR5-5600を選びました。
容量については別途業務で使用しているWindows 11マシンがあったのですが、そちらが32GBで開発業務を十分にこなせており、開発環境を立ち上げてもメモリ使用量に余裕があったという実績があったので、32GBで十分と判断しました。
ストレージ
今回、システム用メインドライブとしてM.2 PCI Express 4.0接続のSSDを選択しました。
M.2も登場からしばらく経っており、価格も落ち着いてきているため特別な理由がなければメインドライブはM.2でいいのではないかと思います。
これは実際組んでみて感じたことですが、SATA接続に比べ配線の手間がかからないため、PC間での移設も容易であるという点は自作PCにおいて大きなメリットでした。
最近のマザーボードはスロット数も複数あるのが常識となってきており、拡張性も十分だと思います。
ケース
静音性を重視してAntec P10Cを選択しましたが、昨今はデザイン性やエアフロー重視のケースが主流のようで、正直選択肢はあまりありませんでした。
他に静音重視のケースだとFractal DesignのPop Silent、Difine Rシリーズがありますが、光学ドライブを使いたかったので5インチベイの使いやすさや全体のサイズ感を踏まえるとほぼP10C一択となりました。
組んでみて
これまでのPCもCore i7の第8世代でしたのでそう古いものでもなく(?)、通常使いで劇的な差があるかと言えばそうではありません。
ただSSDの速度やメモリの速度が上がった恩恵か、環境のインストールやアプリケーションの立ち上げ等は目に見えて早くなったため、意外と単なるブラウジング等でも恩恵は感じられます。ゲーミング用途ではないため、開発や事務用途のボトルネックはCPUやGPUよりもむしろメモリ、ストレージあたりの速度にあるのかもしれません。
今後本格的な開発作業を始める中で、追って構成の調整や再レビューなどしていければと思います。
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