GeForceシリーズは現在Game ReadyドライバとStudioドライバの2種類が提供されていますが、どちらを入れれば良いか迷ったので違いを調べてみました。
結論
一般的な利用においてはどちらを選んでも大差ありません。しかしあえて言うならば以下の違いがあります。
- 最新のゲームの機能や不具合へのいち早い対応を求めるならGame Ready
- その他の用途(動画編集、AI等)や安定感を求めるならStudioが無難
解説
NVIDIAのダウンロードサイトでは以下のように説明されています。
Game Ready
最新のゲーム、パッチ、DLC の初日サポートを優先するゲーマーの方は、Game Ready ドライバーを選択してください。
Studio
動画編集、アニメーション、写真、グラフィック デザイン、ライブストリーミングなど、クリエイティブな作業の安定性と品質を優先するコンテンツ クリエイターの方は、Studio ドライバーを選択してください。
基本的にこの説明の通りではあるのですが、具体的に何が違うのかこれだけだといまいち読み取れませんでした。各ドライバのリリースノートを見てみるともう少し具体的に分かってきます。
以下はGeForce Game Readyドライバー 576.28のリリースノートを一部抜粋、日本語訳したものです。
Fixed Gaming Bugs
- [RTX 50 シリーズ] [Black Myth]: Wukongが変身するとランダムにクラッシュする問題を修正 [5231902]
- [RTX 50 シリーズ] [Red Dead Redemption 2]: DX12モードで、起動直後にクラッシュする問題を修正(Vulkanモードでは問題なし) [5137042]
- [RTX 50 シリーズ] [Horizon Forbidden West]: セーブデータをロード後にフリーズする問題を修正 [5227554]
Fixed General Bugs
https://www.nvidia.com/ja-jp/drivers/details/245379/
- [RTX 50 シリーズ] GRD 576.02更新後、アイドル時のGPUクロックが低下する問題を修正 [5232414]
- [RTX 50 シリーズ] DisplayPort 2.1モードで高リフレッシュレート時、一時的に画面がちらつく問題を修正 [5009200]
Fixed Gaming Bugs(ゲーム関連の不具合修正)とFixed General Bugs(一般的な不具合)という区分で修正項目が並んでいます。
Fixed Gaming Bugsを見るといくつかゲームタイトルが記載されており、ある特定のゲームタイトルとGPUの組み合わせで発生している問題への対応が主であることが分かります。
Fixed General Bugsを見ると特定のソフトというよりは一般的な問題への対応も含まれていることが分かります。
一方こちらはStudioドライバー 576.02のリリースノートです。
Applications
GeForce RTX 5060 Tiに対応するとともに、最新のクリエイティブアプリケーションおよびそのアップデートに対応しています。
Fixed Application Bugs
- [Octanebench] パフォーマンスの低下を修正 [3523803]
- [DaVinci Resolve] FusionページでUIオーバーレイが正しく表示されない問題を修正 [4974721]
Fixed General Bugs
https://www.nvidia.com/ja-jp/drivers/details/244315/
- その他の修正された不具合については、リリースノートPDFに詳しく記載されています。
Fixed Application BugsとしてDaVinci Resolve(動画編集ソフト)で発生していた問題への修正が書かれており、NVIDIAの説明通りStudioでは動画編集やグラフィックソフトへの対応を優先しているようです。
ここからは推測が含まれますが(明言されているわけではない)、Game Ready、Studio共に一般的な修正は随時実施されており、それに加えGameReadyはゲームタイトルに特化、Studioはグラフィックソフト等に特化した修正が早めに実施されるということだと思われます。
特定のゲームやグラフィックソフトで顕在化している問題であっても、修正を展開する必要があればいずれはGame Ready、Studio両者で修正されるものと考えられます。
リリースサイクルにも若干違いが見受けられ、例えばバージョン572.70はGame Readyしか提供されていません。Game Readyは修正をいち早くリリースするという意味合いもあるようです。

NVIDIAのドライバに限らず、ソフトウェア製品ではいち早く新しい機能を提供するリリースと、安定した動作を狙うリリースの両方が用意されることがあります。
例えばWindowsアップデートでは「利用可能になったらすぐに最新の更新プログラムを入手する」というオプションがあります。いち早く新機能や不具合の更新が手に入る一方で、アップデート自体に不具合があったためにPCの動作に悪影響を及ぼすということも稀にあります。
いわゆる「ベータ版」「プレビュー版」などとして、テストの意味合いがある最新バージョンをユーザーに公開するケースもあります。
逆に十分にテストされた安定版として、特定のバージョンを長く使えるようサポートするような仕組みもあります。Linux系OSなどで提供されるLTS: Long Term Support版はそれにあたるものです。
ゲームユーザーはいち早い対応や少しでも高パフォーマンスを求めるというユーザーも多いと思われ、NVIDIAもこのような2つのリリースを用意しているのだと考えられます。
なおパフォーマンスについては、いくつかのベンチマーク結果を見る限りほとんど変わらないようです。ゲームのタイトルによっては若干Game Readyに軍配が上がることもあり、一部微妙なチューニングが施されている可能性もあると思います。
まとめ
改めて結論をまとめます。
- 一般的な利用の範囲においてはどちらを選んでも大差ないと思われます。いずれどちらも同等に更新されていくからです。
- 最新のゲームの機能や不具合へのいち早い対応を求めるならGame Readyが良いでしょう。特定ゲームタイトルの新機能対応や不具合修正がStudioより早く行われることがあります。その分、不具合が残っているバージョンを掴むリスクは多少上がると思われます。
- その他の用途(動画編集、グラフィック、AI等)ならよく動作検証されたStudioを選ぶのが無難だと思います。
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