REALFORCE RC1レビュー コンパクトの理想形かも?

デバイス

2024年10月、REALFORCEから新シリーズとなるコンパクトタイプのRC1が発売されました。

私は少し前にREALFORCE R3のテンキーレスモデルを購入して大変満足していたのですが、最近仕事でキーボードを持ち運ぶ機会が増え、R3は持ち運びには大変だな・・・思っていたところRC1が発売されてしまったのでした。

もう少し早く出てほしかった、と少々無念を抱きつつも日本語配列、キー荷重45gのモデル(型番: C1HJ11)を購入したのでレビューします。

外観

ファンクションキー、矢印キーを備え可能な限りベゼルを薄くしたコンパクトなデザインです。

REALFORCEのロゴは前面にさり気なく刻印されています。

特徴

昨今のキーボードブームで各社からキースイッチや配列に様々な工夫を凝らしたモデルが発売され、選択の幅が大幅に広がってきています。

REALFORCEシリーズはキースイッチとして静電容量無接点方式を採用し高級キーボードの代名詞の1つとなっていましたが、サイズは主にフルサイズとテンキーレスサイズ、配列は一般的な日本語と英語配列(加えてMac向け)という標準的な仕様が主でした。

そんな中、RC1は近年人気の高まっているコンパクトサイズであり注目している方も多いのではないでしょうか。

RC1の特徴は「コンパクトさ」と「教科書的な使いやすさ」を両立している点にあると思います。

元々REALFORCEシリーズ自体が極力特殊な要素を廃し、教科書的な配列やキーストローク等を採用することで「誰でも使いやすい」キーボードだったと思います。

RC1でもその思想は受け継がれ、コンパクト配列では省かれがちな矢印キー、ファンクションキーを備えており、コンパクトサイズのキーボードを試したいけど特殊な配列を使いこなせるか不安・・・という人にとって大変良い選択肢になると思います。

配列

前述の通りRC1はコンパクトでありながら特殊な配列ではなく、一般的なノートPCと似たような配列となっており、多くの方がそれほど違和感なく乗り換えられるはずです。

ノートPCとデスクトップPCを併用する方にとっては、むしろデスクトップでフルサイズ等の大きい配列を使うより、RC1を使ったほうがデバイスを行き来した時の違和感が少なくなる可能性すらあるように思います。

「ノートPCと似たような配列」と書きましたが、このような配列は外付けキーボード、特にメカニカルスイッチを採用した高級キーボードでは意外と多くありません。(よりコンパクトだったり、逆にスイッチを増やしたタイプが多い)

コンパクトサイズで代表的な製品というとやはりHHKBかと思います。私も使用しており良い製品だと感じたのですが、ファンクションキーが省かれていることにどうしても慣れることができませんでした。(細かい理由は下記記事でも詳しく述べています)

やや特殊なポイント

「特殊ではない」と言っても、コンパクトサイズを実現するためにやや特殊になっている部分も存在します。

ここでは比較対象としてHPのノートPCの配列と比べてみましょう。

REALFORCE RC1
HP ELITEBOOK

ノートPCの場合矢印キーの上下が最下段に収まっていることが多いですが、RC1では矢印キー上が下から2列目(Zのある列)に入っています。これにより左右のShiftキーが短くなり、Z列の入力キーが一般的なキーボードと比べ1/4キー分ほど左にずれています。(AとZキーの位置関係に注目してください)

この点については特に違和感はありませんでした。左Shiftキーは十分な大きさが残されていますし、私の場合右Shiftキーはほとんど使うことがありません。Z列のずれについてもミスタイプが多くなったなどは感じていません。

実はZ列のずれはコンパクトサイズのキーボードではたまに見られる配列で、HHKB日本語配列やlogicoolのMX Mechanical Mini日本語配列など、コンパクト系の日本語配列でたまに見られます。

(補足: 元々日本語配列キーボードの右Shiftキーはキー1.5個分ぐらいの大きさのため、矢印キー上を同じ列に入れ、かつ右Shiftキーをキー1個分の大きさを残そうとするとこのような方法が1つの解決策になります)

入力キーのずれと聞くと驚く方もいると思います。違和感がないか、可能であれば実物を試してみることは必要だと思いますが、意外と「言われないと気づかなかった」と感じる人も多いかもしれません。

私はノートPC的な上下キーを詰め込んだ配列より、矢印キーをゆったりと使えるため良いと感じてます。

不足キーの扱い

コンパクトサイズの宿命として、フルサイズには独立キーとして存在しているいくつかのキー(Home、End、PageUp、PageDown、PrintScreen等)が省略されています。

もちろんこれらのキーが押せないわけではなく、Fnキーと同時押しすることにより押すことができます。

私の場合、省略されたキーの中でHome、Endは非常によく使うのですがこれらは標準では矢印キーの左と右に割り当てられています。

現行のREALFORCEは専用ソフトウェアで全キーの割り当ての変更が可能となっており、このあたりは好みにカスタマイズすることが可能です。

通常キーの位置はもちろんのこと、Fnを押しながらのキー位置、あるいはFnキー自体の位置も全てカスタマイズできるので自由度は高いです。

私は右CtrlをFnキーに変更することで親指でFn(右Ctrl)を押しながら人差し指で矢印キー左(Home)と薬指で矢印キー右(End)を押すようにしています。

実はこの指使いはMacBookとも同じで、WindowsのノートPCでもそこそこ採用例があり慣れると直感的に扱える良い配列だと感じています。

ファンクションキーの存在

やはりファンクションキーが独立して使えることで、直感的にショートカットを押せること、マウスを持ちながら操作も可能なことの恩恵は大きいと感じています。

これは普段使うソフトウェアにもよると思いますが、開発環境や画像編集、動画編集、ゲーム等、ショートカットとして多用するソフトウェアを使う場合は大きなメリットだと思います。

またRC1ではF12の右側にDeleteキーが追加されていることも見逃せないポイントです。Deleteキーをあまり使わないという場合でもキーマップを変更すれば通常押しとFnと同時押しで何かしらショートカットを割り当てたりと有効に使えます。

その分EscとF1キーの隙間、F4とF5の隙間などが小さくなっていますが、小さくても隙間が設けられていること、キーの色が分かれていることで押し間違いは起こりにくいよう工夫されており、使い勝手は悪くありません。

ファンクションキー4つずつ、Esc、Deleteで色が分かれている

サイズ

使い勝手

ところで、コンパクトサイズのキーボードを使うメリットは何でしょうか。

持ち運びやすさや机の上のスペースを広く使えるという点はもちろんあるのですが、少ない手の動きで入力できる、マウスが近い位置に置けるためPCをスピーディに操作できる(ような気がする)という点は使ってみて始めて気づけたメリットでした。

ただ、キーが少なくなるほどにFnと同時押し等、操作が複雑になってくるためどのあたりまでコンパクトさを求めるかは個人の好みの部分がかなり大きいと思います。よく使う操作が複雑になりすぎると、逆にスピーディさを失う結果となります。

RC1は上でも述べたように一般的なノートPCと同等のキー数を確保しているため使い勝手とコンパクトさのバランスが取れており、ストレスなく扱えています。

可搬性・携帯性

何度かRC1を職場に持っていきましたが、無理なく携帯できると感じます。

テンキーレスのR3を何度か職場に持っていったこともありますが、リュックに入れるにはややギリギリのサイズで重量も結構異なります。

R3のテンキーレスは約1.3kg、RC1は0.6kgと半分以下になっており、500mlのペットボトル1本分ぐらい変わってきます。

惜しい点は現時点では純正ケースが発売されていないことで、他社製品を流用するしかありません。

打鍵感

REALFORCEの採用する静電容量無接点方式は私が今更語る必要がないぐらい素晴らしいスイッチです。

キー荷重45gのモデルは多くの方にとって違和感なく扱えるバランスの取れた打鍵感だと思います。

ただ、現行通常シリーズのREALFORCE R3と比べると少し打鍵感は異なると感じました。

R3と比較するとRC1の打鍵感はやや優しいタッチである印象を受けます。R3は内部に鉄板が仕込んであるため、しっかりした底打ち感とカチャカチャという少し甲高めの音がします(同じ静音スイッチで比較した場合)。一方RC1は軽量化の目的もあるでしょうが鉄板はなく、その分底打ちが優しめで音もスコスコ、ポクポクというような低めの音です。

これは正直好みのレベルだと思いますが、打鍵感にこだわる人は確認しておいたほうが良いポイントです。

気になる点

LEDインジケータ

RC1ではF12とDeleteの間にフルカラーLEDを内蔵しており、このLEDの色や点滅で状態を知らせるのですが、正直分かりやすいとは言えないのと、ちょっと明るすぎると感じます。

通常使用時は消灯しているのですが充電時には常時点灯し、目に入ると気になるレベルで光量があります。

分かりやすさについてはコンパクトキーボードなので仕方ない点もありますし、正直いつも見る部分ではありません。ペアリング時などは特殊な表示となりますが都度説明書を見れば済む話だと思います。

ただ電源がスライドスイッチではなく押しボタン式であること、一定時間でスリープモードに入る仕様があることが相まって無線使用時は現在電源がオンオフどちらなのかわからなくなる場合があり、今後のモデルでの改善を期待したいところです。

バッテリー

RC1では充電式バッテリーを搭載した点で賛否がやや分かれているようです。

個人的には軽量化、コンパクト化に寄与していると思うので悪くない仕様だと思うのですが、充電バッテリーには寿命があるので高級キーボードを長く使いたいと思う方にはやや気になるところかもしれません。

なお公式からバッテリー交換サービスの実施(予定)も案内されています。

総評

個人的にはようやくこれ!というキーボードに出会えたのではないかと思っています。

細かい点で気になる部分はあるものの、キーボードの基本的なコンセプトの配列、サイズなどは大変満足のいくものでした。

持ち運び用途として購入しましたが、もしかするとそのままメイン使いとして昇格するかもしれません。

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