書籍「快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本」のレビューです。
書籍情報
タイトル | 快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本 |
監修 | 柳沢 正史 |
出版 | 朝日新聞出版 |
発売日 | 2024年8月20日 |
価格 | 1,400円+税 |
ISBN | 978-4-02-333409-0 |
はじめに
メディアにも多数出演されている睡眠研究の第一人者、柳沢正史氏(筑波大学、株式会社S’UIMIN代表取締役)による著書です。
本書は「監修」という位置づけではあるものの、最新の研究の紹介から日常に役立つ快眠法まで様々な情報が詰まっています。
約240ページ(初版時点)というボリュームですが、図解も多く「入門」とあるように平易に解説されており、どなたでも読みやすい内容であると感じました。
各章構成
本書は以下のように構成されています。
- 睡眠の不思議 — 意外と知られていない睡眠のしくみや重要性を学ぶ
- 睡眠不足がもたらす悪影響と睡眠障害 — 睡眠と健康の関連性
- 動物とヒトの睡眠の謎 — 動物にとって睡眠とは何なのか
- 睡眠の質をたかめる — 自分にとってベストな睡眠を見つける方法
- 睡眠にまつわる疑問 — よくある疑問へのQ&A
参考: 代表取締役社長 柳沢が監修の書籍「今さら聞けない 睡眠の超基本」が発売いたしました ニュース|S’UIMIN(スイミン)
感想:科学×実用、両方の側面から学ぶことが大切
本書はざっくり、前半は主に科学的な知見について多く語られています。
睡眠不足が健康に与える影響や、3章では「動物とヒトの睡眠の謎」として、動物にとってそもそも睡眠とは何なのか?ということを近年の研究を交えて紹介しています。
一方後半部分では快眠のコツ、寝室の温度や明るさ、寝具選びやカフェイン等、実際の生活に近い話題が取り上げられています。
このように本書は科学の本としての側面と、生活/実用の本としての側面の二面があります。
とにかく「よく寝れるようになりたい」「快眠法を知りたい」という方にとって、もしかすると科学的な部分は少し退屈に感じる方もいるかもしれません。ただ私としては科学的な事実を知ることも、快眠に繋がる大切な要素のように感じられました。
現代人の多くが睡眠について悩んでいると思います。私もそうですし、私のかかりつけ医と話をしていた時も「睡眠不足はもはや国民病です」とおっしゃっていました。
万能の快眠法はありません。本書では睡眠の質を高めるためのアドバイスはいくつも記載されていますが「絶対に快眠できる方法」はどこにも書いてありません。残念ながら今のところそのような方法はなく、「なんかよく分からないけど寝れない日」はどうしてもあります。
ただそういう捉えにくい問題に対しても「科学的な事実をまずは知ること」は大切だと思います。客観的に捉え、少しでも自分にできることから始めることが、結局は問題は解決する近道ではないかと感じました。
本書は睡眠研究の第一人者である柳沢氏が監修されていることから、各方法論が「ただの噂」のようなものではなく科学的根拠に基づいており、安心して実践できる内容です。健康に関わることだからこそ、安心感というのは重要なポイントだと思います。
そして私(エンジニア)のようにいわゆる理系と言われる人にとって、科学的な事実の部分は単純に読み物としても楽しめました。外敵から無防備になってしまう睡眠という現象がなぜ進化で淘汰されずに今も存在しているのか?睡眠の起源は何なのか?現時点では明らかになっていないことも多いですが、そういった謎を考えているうちにいつの間にか眠くなってよく寝れる日もあったりしました。
仕事への活用
最近はプロスポーツ選手の方を始め、各業界の一流の方たちが睡眠の重要性を語るようになりました。
フリーランスエンジニアである私にとっても、日々の中で睡眠は仕事のパフォーマンスに直結する大切な要素だと感じています。仕事の内容によっては睡眠不足が危険に直結する業務をされている方もいると思います。
本書では寝る間も惜しんで何かをすることが結局効率が悪く、健康にも悪影響を与えること、しっかり睡眠時間を取った方が最終的に良い結果をもたらすことが科学的に示されています。
そういった意味で睡眠は「時間的投資」として捉えるべきであり、自分の仕事のためにも睡眠の重要性を改めて考える良い機会となりました。
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