タイトル | 伝え方が9割 |
著者 | 佐々木 圭一 |
出版 | ダイヤモンド社 |
ISBN | 978-4-478-01721-0 |
価格 | 1,400円+税 |
本書はコピーライターである著者が普段の何気ない会話からビジネスの交渉まで、あらゆる「伝える」場面において使えるテクニックを紹介したベストセラーです。
本書は全3章で構成されています。
第1章: 伝え方にも技術があった!
第2章: 「ノー」を「イエス」に変える技術
第3章: 強いコトバをつくる技術
第1章では著者の経験談を交えながら「伝え方はセンスや才能ではなく技術として学べること」そして「それを学ぶ重要性に気づいてる人が少ないこと」「その気づきを得た人は強いこと」を述べています。
伝えるという技術、特に著者のコピーライターという仕事は素人目にはセンスが物をいう世界のように思えます。しかし本書で取り上げられる名コピーや名作のセリフ、名演説を見ていくと確かにいくつかの共通した技術で作られていることが分かります。
第2章では「ノー」を「イエス」に変える技術と題して「頼みごと」の成功率を上げる具体的なテクニックを紹介しています。
頼みごとというのは日常の中にも溢れていて、自分の家の前に「自転車を置かないで」という趣旨の看板を置くならどういう言葉を書くべきかという話から、ビジネスで商談を成功させる場合にも当てはまります。例え全戦全勝でなかったとしても、少しでも確率を上げることには大きな意味があります。
第3章では著者の専門らしく、よりコピーライティング的な言葉の作り方を解説しています。
名コピー、映画やドラマの名セリフ、有名な演説等々、歴史に残る言葉はいったいどのような仕組みで作られているのか。共通点を見つけることで、それらの言葉を作るテクニックを本書では5つ紹介しています。
SNSで注目されるような投稿、私の副業に関連すれば読んでもらえるブログ記事、ダウンロードしてもらえるアプリの説明文等々・・・誰もがネットで発信できる時代においてこれらのテクニックを身につけることの重要性はなお高まってきていると思います。
この本で紹介されているテクニックは実際には著者の持つスキルの一部に過ぎないと思いますし、本を読んだからすぐに名コピーが書けるようにはならないでしょう。本書でも述べられていますが、最初はレシピ通りに言葉を作っていく練習は必要になります。
ただ本書から得るべき最も重要な教訓は「伝える技術」はセンスがある人だけのものではなく、学ぶことができ、再現できるということです。
それはただ素敵なだけでなく、理由があるのです。そしてその理由を見つけたとき、再現ができるようになります。あなたの技術となるのです。
「おわりに あなたの宝の地図を見つけよう」より
伝え方に限らないことですが、世の中には「才能」「センス」を持った(ように見える)人ばかり目立ち、自分の資質に疑問を持つことも多くあると思います。
ただ多くのことは学びや努力で再現できるようにも思えます。重要なのはそれに気づき、学び始める一歩を踏み出せるか、実はそれこそが才能の正体なのかもしれません。
何かを発信したい、もっと交渉をうまく進めたい、という人にとって本書はその最初の一歩となりうるでしょう。
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