フリーランスは独立後もスキルを拡大できるか

フリーランスのソフトエンジニアとして独立してもうすぐ2年が経ちますが、私がフリーランスになりたいと思った理由の1つに「いろいろな経験をしてみたい」ということがありました。

「いろいろな経験」というのはいろいろな開発現場を見てみたいということと、今は持っていないいろいろなスキルを身に着けていきたいという想いもありました。

しかし、独立してから未経験の領域へスキルを拡大できるのかどうかというのは、実は意見が分かれるところでもあります。独立前には

とあるエージェント
とあるエージェント

フリーランスはとにかく即戦力として求められるから、未経験のスキルへの挑戦は難しい。

とあるフリーランス
とあるフリーランス

独立した時点でスキルは固定され、以降はスキルの切り売りをしていくことになる。

というような話を聞いていました。

つまり既に持っているスキルの経験を伸ばしたり深掘りすることは可能でも、未経験の領域の新たなスキルを獲得していくことは難しいという意見です。

ですがたった2年の経験ではありますが、私が感じた印象は違います。フリーランスとして独立した後も、新たな領域のスキルを獲得していくことは十分可能だと思います。(それがキャリアに有利に働くかは別として)

私は現在フルタイムの業務案件を案件を契約していますが、その案件内でのスキルの拡大方法と、それ以外の副業での拡大方法について述べていきます。

案件内でスキルを広げる方法

当然ながら、契約先で自分が未経験のスキル/技術が運用されていることが前提です。その仕事をいかに回してもらうか、という話になります。

そもそもなぜ未経験領域のスキルを伸ばすことが難しいと言われるかというと、前述の通りフリーランスはとにかく即戦力として期待されているという点、そして有期の契約が基本になるので、先方から見ればフリーランスは育てていく人材という発想ではないことが理由だと思います。

ここが正社員とは大きく事情が違う点ですが、逆に言えば育てていく価値がある、あるいは少し時間をかけてでもスキルを身につけて仕事をしてもらう価値があると考えてもらえれば、未経験の領域に挑戦するチャンスは十分にあります。

別プロジェクトへ異動する

業務委託では多くの場合、契約段階で「このプロジェクトの開発協力を行う」というように特定のプロジェクトの仕事のみ行うことが基本となります。従って契約時のプロジェクトが終わった時、契約は終了するのが一般的ではありますが、先方の信頼を得ていた場合には別のプロジェクトへ異動し仕事を続けませんかと打診されることがあります。

これは場合によっては大きく違う領域のスキルを獲得するチャンスで、エージェントさん曰く「スライド」などと呼び最も一般的なスキル拡大の流れだそうです。

ただスライドは必ず起こるわけではないため、過度に期待するのではなく「そういうチャンスもある」ぐらいに捉えておくのが良いと思います。

同プロジェクト内で別の仕事をアサインしてもらう

同じプロジェクト内であっても、未経験の仕事をやってみませんかと言われることもあります。

その際大事なのは「未経験のスキルでも挑戦してみたい」という意欲をチームにしっかり伝えておくことと、自分の経験してきたスキルをアピールしておくことです。

これも信頼関係が築けていることが前提となりますが、意欲を示しておけば「そういえばキロヒーさん、あの仕事やりたいって言ってましたよね」と仕事が回ってくることは普通にある印象です。

私の場合、以前プライベートで機械学習の勉強を行っていたことがありました。実務経験は無かったのですが、機械学習の仕事が新たに発生した時に「確かプライベートでの学習経験がありましたよね」と言われ開発業務を担当させて頂くことができました。

当時のプロジェクトは人数が少なく、機械学習の専門人材のアサインが難しかったこと、学習アルゴリズムのベースは既に完成しており業務の難易度がそこまで高くないと考えられていたというやや特殊な事情もありましたが、このようにして仕事が回ってくることもあります。

結局のところ「未経験でもこの人なら仕事を任せても大丈夫だろう」と信頼してもらえるかどうかが大事になってくると思います。

個人開発でスキルを拡大する

フリーランスに限らず、個人開発でスキルを伸ばすことはもちろん可能です。

ソフトウェア技術は新しい学習をする際に金銭面の投資がさほど必要ない場合が多く、意欲さえあればいくらでも自分で経験を伸ばすことができるという特徴があります。

しかし個人開発の経験が案件の獲得に繋がるかという部分はよく考える必要があります。案件の商談では多くの場合実務経験何年以上、ということが求められるため「単に趣味でやっていた」というだけでは評価を得られない場合があります。

では個人開発が全く評価されないかというとそんなことはなく、アプリでXXダウンロードを達成したとか、収益XX達成、あるいは賞を受賞など客観的に評価しやすい実績を出せば実務経験と同様に評価されることは多いと思います。

またフリーランスの場合副業が完全自由ということもあり、経験の少ないうちはクラウドソーシング等で単発の案件を受ける手もあります。実際クラウドソーシングでは経験が少なくても安価であれば受注をもらえることもあり、このようにして実務経験を積むことは十分可能です。

おわりに

独立してたった2年間の経験ではありますが、当初考えていたより未経験領域のスキルに挑戦できる機会は結構あるように感じました。これは当初聞いていた話とは違ったので良い意味で裏切られました。

あるスキルを伸ばすのも、拡大するのも、会社員だから、フリーランスだからというのはあまり関係ないように思えます。個人の意欲さえあれば、自分発でも、周囲に働きかけることでも、いろいろなチャンスが回ってくる可能性があります。

ただキャリアというのは難しいもので、ただスキル領域が広い人が評価されるわけではありません。1つの専門性を突き詰めた人が評価される場合もありますし、ここは自分のキャリア戦略をしっかり考えていく必要がある部分だと思います。

この記事がフリーランスのキャリアについて考える方の少しでも参考になれば幸いです。

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